F5 GLOSSARY

ロードバランサーとは?その仕組みからメリット、製品までを解説

ロードバランサーは、インターネットサービスやWebサイト運営におけるサーバへのアクセス集中などに備え、負荷分散する重要な仕組みです。ロードバランサーの仕組みから重要性とメリット、いま注目のクラウド型ロードバランサーの特徴とメリット・デメリットまでわかりやすく解説します。

■ロードバランサーの仕組み

ロードバランサーとは「負荷分散装置」と呼ばれるもので、外部からのトラフィックを複数のサーバへ分散させる仕組みを提供します。例えば一つのWebサーバへのアクセスが一時的に集中し、サーバの処理できる範囲を超えた場合、レスポンス低下やサーバダウンを引き起こす恐れが生じます。その際、ロードバランサーにより複数のサーバへトラフィックを分散させることで、一つのサーバへの負荷を軽減し、トラブルを防ぎます。

ロードバランサーの仕組み

ロードバランサーの仕組みを解説します。

仮に、2台のWebサーバに負荷を分散させるとします。
まずリクエストが発生したら、ロードバランサーはインターネットから受け取ったリクエストをすべて集約します。そして、2台のWebサーバにアクセスを割り振ります。このとき、1台あたりのWebサーバの負荷は半分になるため、負荷が分散され、2台のサーバのレスポンスを向上させることができます。

各Webサーバに割り振る方法には次の2種類があります。

・1.L4
IPやTCP、FTP、UDP等、ネットワーク レイヤ(レイヤ3)とトランスポート レイヤ(レイヤ4)のデータに基づき、負荷分散を行います。レイヤ7ロード バランサーは、HTTPのようなアプリケーション レイヤ(レイヤ7)のデータに基づき、リクエストを分散させます。

・2.L7
レイヤ7ロード バランサーの場合には、HTTPヘッダやクッキー、リクエストに含まれるパラメーター等を元に、さらにきめ細かい負荷分散を行えます。
いずれのタイプのロード バランサーも、リクエストの分散処理は、設定されたアルゴリズムに基づいて実行されます。現在業界標準になっているアルゴリズムとしては、以下のものがあります。

・ラウンドロビン(Round-robin)
事前に登録された複数のサーバに対して、順番にリクエストを割り当てていくアルゴリズム。

・加重ラウンドロビン(Weighted Round-robin)
サーバの処理能力に応じて、重み付けをした上で、リクエストを割り当てていくアルゴリズム。

・最小接続(Least connections)
サーバの負荷に応じて動的にリクエストを割り当てていくアルゴリズムの一種。接続しているコネクション数が少ない順に割り当てを行う。

・最小レスポンス(Least response time)
サーバの負荷に応じて動的にリクエストを割り当てていくアルゴリズムの一種。応答速度が短い順に割り当てを行う

■ロードバランサーの重要性とメリット

ロードバランサーはなぜ必要なのでしょうか。その重要性を確認しておきましょう。

まず、膨大なアクセスが集中するとサーバに負荷がかかりますが、その際、レスポンス低下にとどまらず、サーバがダウンする可能性があり、事業継続が困難になるリスクが生じます。そのため、企業としてはBCP (事業継続計画)の観点から負荷分散は重要な仕組みといえます。

また日頃から負荷分散を行うことは、サーバダウンを予防するだけでなく、そのサーバやシステムに接続するあらゆるパフォーマンス低下を防ぐことから、生産性向上にも寄与します。

負荷分散を担うロードバランサーは、事業継続から生産性向上まで、企業経営において重要な役割となります。

ロードバランサーのメリット

ロードバランサーには次のようなメリットが期待できます。

・負荷分散
アクセスを複数のWebサーバに割り振り、負荷分散することで、レスポンス低下を防ぎサービス継続に寄与します。

・サーバ故障への対応
ロードバランサーは常時監視する機能を持っており、故障しているサーバが見つかると負荷分散の対象サーバから切り離すため、サービスの停止を防止します。

・効率的なサーバ運用が可能
自動的に負荷分散させることで、常にリソースの全体最適化を実現するため、効率的なサーバ運用が可能です。

■ロードバランサーで注目の製品「クラウド型ロードバランサー」とは

ロードバランサーのうち、いま最も注目されているのがクラウド型です。ハードウェア型との違いやメリット・デメリットをご紹介します。

クラウド型ロードバランサーとは?

クラウド型ロードバランサーとは、負荷分散機能をクラウド環境で利用する方式の製品です。従来はハードウェア型ロードバランサーというハードウェア専用機を利用する製品が主流でした。しかしクラウド時代となり、クラウドサーバの利用も増えてきたことから、ロードバランサーもクラウド環境で利用することで利用者側の利便性向上が期待できることで注目が高まっています。

クラウド型ロードバランサーのメリット・デメリット

クラウド型ロードバランサーは、ハードウェア型と比べて、リソースを追加したり、減らしたりすることが柔軟にできる点が大きなメリットです。ハードウェア型では予想以上のアクセスがあった際に処理の限界を超えてしまう一方で、その予想以上のアクセスを平時から備えることは、過剰にコストをかけることになってしまい現実的ではありません。
その点、クラウド型は、アクセスが膨大になる繁忙期などの状況に合わせて柔軟にリソースを変更できるため、その都度リソース調整が可能であり、コストの観点からも効率的です。

一方で、クラウド型ロードバランサーのデメリットとして、セキュリティ面が指摘されています。クラウド型はロードバランサーに限らず、インターネット上のサーバを利用する形態となるため、セキュリティの信頼性はハードウェア型よりも劣り、情報漏洩リスクもあります。

F5のクラウド型ロードバランサーとは

F5では、ロードバランサーをサポートする製品として「F5 BIG-IP DNS」「F5 BIG-IP Local Traffic Manager(LTM)」を提供しており、クラウド型も取り扱っております。

F5 BIG-IP Local Traffic Manager(LTM)は、アプリケーションの高速、安定、安全を促進し、ネットワークトラフィックをインテリジェントに管理するシステムです。ロードバランサーとしての役割だけでなく、サーバのパフォーマンスやセキュリティ、可用性に基づいて適切な宛先を選択し、ネットワークトラフィックを制御できます。また強力なセキュリティを備えており、DDoS攻撃(※)を検出し、それらの接続を重要なサーバから切り離すため、クラウド型のデメリットも埋めることが可能です。

※DDoS攻撃…複数のコンピュータからサーバなどに過剰な負荷をかけて攻撃をしかけるサイバー攻撃の一種。

■まとめ

ロードバランサーは企業経営にとって重要であり、BCPとして備えておくべき仕組みと言えます。クラウド型の導入が進むなか、高いセキュリティを確保しながらロードバランシングを行えるF5の製品は、多くの方にとって有効です。

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